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『情報倫理入門 改訂新版』土屋俊監修,大谷卓志編著,2016,アイ・ケイ コーポレーション

もし倫理が究極的には主観的なものに根差すものであるとしても,理由や根拠は非常に重要である。(p.19)

5段階評価

★★★ 3(そうでもない...かな)

なぜその本を読み始めたか

主に個人情報について,データサイエンティストとしてのコンプライアンス・倫理の観点を養うため.

「推し」とその理由

なし

面白いor参考になる語彙・表現・構成

各章末に添付された練習問題で,現実問題に対する倫理的な考察力が鍛えられる

読了年月日

2022/1/17

自由感想

「情報倫理は与えられるだけでなく、多くの人々が参加してつくりあげていく必要があるものでもあるのだ。」とあるように,本文中で取り上げられているテーマ(MAD動画,情報公開,プライバシー,監視と見守り等)はどれも,画一的な基準があるということを示しているわけではない.

それゆえに,読者側からすると読了後は何とも言えない消化不良の印象を与えるかもしれない.ただ,議論を尽くすことによって,限りなく「正解」に近づける努力は必要だとひしひし感じた.書いてあることを頭の片隅に置きながら,経験と共に継続的に咀嚼することが求められる.

当初の読書目的である個人情報の観点について,データマイニングによってプライバシーが侵害される可能性という観点は非常に興味深い.本書でも引用されているR.ゲイビソンの例を引用して終わりたいと思う.

一見すると関係のない情報の突き合わせによってプライバシー侵害が起こる例として,R.ゲイビソンによる有名なものがある。それは,ある男が教会で神父に罪の告白をしたという情報と,その教会の神父による「私が聴いた唯一の告白は殺人の告白でした。」という情報から,その男が殺人犯であることが第三者にわかってしまう,というものである。